別に俺は教養が深いわけじゃないが、この世にはたくさんの言葉があるってことぐらい分かる。いちいち全部拾い上げて意味だの文法?だの、そんなことやってたら何回生まれ変わってもきりがねぇってことも、分かる。だから、っつーか俺は毛頭そんなみみっちいことするつもりはねぇ。思ったことを言える口さえありゃ、十分だ。 楽しけりゃ楽しいし、ムカつきゃムカつく。それでいい。もうすぐだ。楽しみだ。

そろそろ最終任務の時間だ。楽しみなのはこの事じゃねぇ。これが終われば帰れる。あいつが待ってる。もう何週間会ってねぇかしらねぇけど、今回もそうだろうな、あいつは会うたびにキレイになってやがるから驚きだ。そのくせ、俺を見るたびに『スクアーロまた男らしくなったんじゃない?』とか言うから、そんなもんお前アレだろ、 俺だってビシッとするしかねぇだろうが。分かってんのか、お前のためにやってんだぞお前の。こんなことベルやマーモンに知られてみろ、これをエサにどれだけ搾取されるか、考えただけで身の毛もよだつぜ。ある意味いつもギリギリ生きるか死ぬかだ。クソ。

最終任務だってのに気が抜けちまうぐらい弱い相手をなぎ倒しながら、俺はもうあいつのことしか考えられなくなってる。あいつはきっと、いつも通り開口一番『やっほ、最近どう?』とか何とか言う。俺もいつも通り、『お前に会えて嬉しいぜ』をお見舞いしてやる。そしたらあいつはいつも通り真っ赤な顔して、 それだけかと聞いてくるだろう。それだけなんだから実際仕方ないんだってーのに。

もういちいち鬱陶しいくらい弱い相手にこの俺もだんだんイライラしてきた。てめぇらわざわざ俺があいつと会うまでの時間を割いて戦ってやってんだ、こうも張り合いがねぇとイライラして死んじまいそうだ。いや、俺が死ぬわけにはいかねぇな、あいつがいる。間違えた、俺がイライラして、死んじまうのはてめぇらのほうだ。 もういい十分遊んだ、あとは瞬殺だ。

あいつが待ってるんだ。もうすぐ会うんだ。きっと嬉しいはずだ、俺も、あいつも。


What to Say
(ベル、スクアーロがイライラしてるね)(ふーん…たまってんじゃない?)
- 081221 拍手御礼