昨日の夜、何で彼女は俺にキスなんかしたんだ。何で耳元であんなこと言ったりしたんだ。俺と彼女はそんな関係じゃないし、そんな素振り見せたことだって今まで一度もなかっただろ。どういう心境の変化か知らないけど、紛らわしい変なことするのはやめてほしい。誰だってそうだろ。俺だけに限ったことじゃない。 いや、別に彼女のことを嫌いなわけじゃない。笑ってる印象が強くて、いつも遠くから幸せな人なんだろうと思って見てた。 見てた? 違う、それとは違う。

こういうことに慣れてないからだろうけど、思い出す度に何となく胸のあたりが熱い。ほんとにめいわくだ。無駄なことを考えさせられるのはしんどいし、考えるのはめんどい。期待してるんじゃない、させられてるんだ。 期待? 違う、なんか違う。

もっとこう、お互い知ることがあるだろ。昨日はたまたま帰りに下駄箱で会っただけで、帰る方向が同じだっただけで、向こうが話しかけてきただけで、別にクラスメイトの話を無視する必要もなかったってだけの話で。俺は笑ってる印象しかなくて、昨日も彼女は笑ってて、多分向こうは特に印象もなかったらしくて、 昨日も特に変な印象は与えなかっただろう。それを願う。俺は俺の話なんてしてないし、彼女も彼女の話なんてしてない。授業の内容とか、今度のテストとか、こないだの体育祭とか、近所に新しくできたデパートとか、そんなことばっかりで。そしたらいきなり。 いきなり? 違う、ちょっと違う。

死ぬほど苦しいとか寂しいとか、そういう感情がないじゃないか。いや、今までもなかったけど、今までとは状況が違うから仕方ない。彼女もきっとそうだ。気紛れなんだろ。別に俺じゃなくても良かったじゃないか。 良かった? 違う、少なくとも俺は違う。

ああもう苦しい、考えるの疲れた。めんどいから寝たい。なんでこんな時に限って骸さまも犬もランチアもいないんだ。ひとりじゃなかったらこんなことすぐ忘れるのに。ああ苛々する。いっそ死んだ方が楽かもしれない。 死ぬ、? ちがう、これは・・・・・・


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(見てたんだ期待してるんだ心の準備もできてたんだ良くないんだ、実は、死ぬほど)
- 080129 拍手御礼