某高級マンションの最上階にある恭弥の部屋はキレイだ。それは高級マンションだからとかいうやつではなくて(勿論それもあるんだろうけど)、どの部屋もきちんと整理整頓されてて、フローリングはピカピカ。 あたしの部屋みたいに、電気の傘がホコリかぶってたりなんかしない。お風呂場もトイレも台所もカビのカの字も見当たらないし、玄関にも砂だとか泥だとかそんな見苦しいものはない。 (あたしはここに来る度に一度玄関に踏み込むのを躊躇してしまうんです。)まあなんでもこの部屋には専属の掃除のおばちゃんがいるらしく、さすが高級マンションだなと実感。(でも専属だからって恭弥の部屋にあがるとは何事だ!? おばちゃんとか言って若い娘だったら許さない!)こんなキレイな所に住んでたら、自然と心も体もキレイになってしまいそう!(だから恭弥はキレイなんだ!)

そのキレイな部屋のキレイな主人が今、あたしの前で眠っている。真っ黒なカバーがかけられた布団に包まれて、真っ黒でさらさらな髪を無造作に散らせて、それはもうぐっすりと。人を電話でかつ非常に短い言葉(ちょっと来て)で呼び出しておいて 来てみれば等の本人は寝てるなんて『ちょっとそれはないんじゃないの?』と思うけど寝顔もキレイで見惚れてしまうのでよしとする。(そんなあたしは恭弥が大好きです、はい。)見れば見るほどキレイで、 女の子顔負けの肌はいつもよりも青白く見えて(部屋が薄暗いから?)(だって夜だし)、なんだか物語のお姫様みたいだと思った。 ・・・お、ということはあたしは王子様?もしかしてちゅーしたら起きるかな? でも起こしたら怒るかな?怒られるのは怖いからちょっと困るな・・・・・・でもちゅーしたいな!(あたしよくじょうしてる!?)

そうだ、恭弥がキレイだからダメなんだ。こんなにあたしを骨抜きにしちゃうのは恭弥以外にありえない。それに客人をもてなさないなんてなんてヤツだ!(君の彼女だぞ!)だから恭弥が悪い!だからあたしはちゅーしても悪くない! (誘ったのは恭弥だぞプンプン!) って一人で葛藤して自己完結させて恭弥の方に向き直ると、・・・・・・あ、れ?目が開いてますよ恭弥くん。(あたしまだ何もしてないよ!)(も、もしかしてうるさかったかな) (ていうか声出てた?)


『来てたの』って恭弥が言ったから、あたしは『うん』って答えた。来てたんだ、何で気付かなかったんだろう。いつもは葉っぱが一枚落ちる音でも目が覚めるのに。だから?いやそれはない(はず)。だってそんなこと認めたら僕がのこと大好きだって言ってるようなものじゃないか。(あながち間違いでもないけど。)ていうか何でがいるの、不法侵入?じゃなかったら咬み殺・・・・・・僕が呼んだんだったかな、何で呼んだんだろう、ああ、そうだ、に会いたかったんだ。それから少し間が空いて(寝ぼけてる?)(なんて言ったら絶対怒る)、恭弥が急にあたしの手首を掴んで引き寄せた。(ワオ!)



「おいで、





Oh, Lord!
そしてかみがみまもるなか、ふたりはおちていくのです。