Ricevi questo anello segno del mio amore e della mia federta.
Nel nome del padre e del figlio e dello spirito santo.



サンジミニャーノは祝福の雨。彼に似合う雨は、とても愛おしい。長く尾を引いて落ちる銀色のひと粒ひと粒が、彼の髪を思い出させる。街の高台にある教会の一室、窓を開ければ、湿気交じりのなまぬるい空気が入ってきた。

これまでに見たこともないような白のシルクに包まれて、私は、幸せなんだ・と思う。鏡の中のきれいな人は、いったいだれだろう。気恥ずかしくてはにかめば、彼女も恥ずかしそうに微笑んだ。コンコンと、ノックの音がする。


「入るぜぇ」


声とともにドアノブの回される音がして、愛おしい人の姿が現れた。黒のスーツを纏い、白のグローブとスカーフを引き立てて、流れるような銀髪を高くひとまとめにした、スクアーロ。いつもの仕事着とは違う、とても良質そうな控えめの黒に、思わず見惚れてしまう。


「どうしたの?スクアーロ」
「見に来ただけだぁ」


『・・・似合ってるぜぇ』と、彼がとても優しく言うから、私は染まった頬を隠すために、うつむいて『スクアーロも、かっこいいよ』と言うしかなかった。彼は卑怯だ。いつもと違うなんて、卑怯だ。見に来ただけなんて嘘。スクアーロの足音が近づいてくる。


「・・・お゛い、


ポン・と頭に大きな手が乗って、ふと顔を上げれば、照れくさそうな、それでいて切ないぐらいに真剣なスクアーロの顔が見えた。ああやばい、泣きそうだ。やっぱり卑怯だよ。何も言わないで、スクアーロ、大丈夫だよ。


・・・オレと一緒になるのは、普通のマフィアの嫁になるよりも大変なことだぁ。本当のことは誰にも言えねぇ、たとえ実の親にでも、だ。つらい思いをさせるかもしれねぇし、守ってやれないときが来るかもしれねぇ」


私の思いとは裏腹に、彼は言葉を紡ぎ続ける。言葉では表せない気持が、さっきからぐるぐるぐるぐる頭の中で踊ってる。雨音のリズムに乗って、鼓動のスピードに合わせて、ぐるぐるぐるぐる。くるしくてたのしみですてきでおもくて泣きたいほどの愛おしい気持ち。ねぇ、大丈夫だよ、スクアーロ。


「・・・・・・、覚悟はでき、」


すべてを聞いてしまう前に、自信と不安が混じったような顔をしているスクアーロを抱きしめて、キスをする。ねぇ、ほんとだよスクアーロ、私はあなたが愛おしくてたまらない。

くちびるを離せば、安心したような、幸せそうな、いつも通りの自信満々な笑みを浮かべた彼が一瞬見えて、またすぐに口を塞がれた。





みんな今頃、待合室でどうしてるだろう。お父さん、ルッスさんに対して退いてないかな。お母さん、たぶんレヴィと仲良くなれるだろうな。ベル、私の友達いじめてないかな。ザンザスさん、お仕事大変だろうながんばって。あ、あとで口紅なおさなきゃ。ぐるぐる散らかった頭で、そんなことを思った。

サンジミニャーノは祝福の雨。あなたと永遠を誓うまで、あともう少し。



maritaggio